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小柳社会保険労務士事務所
社会保険労務士法人 小柳事務所
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毎年10月に改定される最低賃金ですが、令和5年度の都道府県別の最低賃金額の答申が8月18日に出揃いました。
全国加重平均で41円引き上げることを目安とし、全国平均額は1,004円と初めて1,000円台になりました。(昨年度961円)
47都道府県では、39円~47円の引上げとなり、福岡県は昨年の900円から41円引上げられ941円となります。
この最低賃金は2023年10月6日から適用予定となります。(福岡県の場合)
最低賃金はパート、アルバイト、契約社員、派遣社員など雇用形態を問わずすべての労働者が対象です。最低賃金法に違反した場合は罰金が科される恐れもございますので、最低賃金を下回ることが無いよう、十分ご注意ください。
※答申の要旨が公示された後、関係労使からの異議申出があった場合には調査審議が行われ、最低賃金が最終決定されます。
A. 時給の場合
時給 ≧ 最低賃金額(時間額)
B. 日給の場合
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
※ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給 ≧ 最低賃金額(日額)
C. 月給の場合
月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
D. 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額 ÷ 当該賃金算定期間におい
て出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数 ≧ 最低賃金(時間額)
E. 上記A~Dの組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上
のB、Cの式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比
較します。
▼月給制の場合→上記、Cパターン
福岡県で働く労働者Aさんの場合
年間労働日数は、365日-125日(年間休日数)= 240日。
↓
年所定労働時間数は、240日×8時間(日所定労働時間数)= 1,920時間。
↓
月平均所定労働時間数は、1,920時間÷12か月= 160時間。
■190,000円(基本給+職務手当)÷160時間= 1,187.5円 ( ≧ 941円)
※通勤手当、時間外手当は算入しません。(下記、除外される賃金をご確認ください)
最低賃金に関してよく聞かれる質問を紹介します
臨時雇用労働者、パートタイマー、アルバイト等雇用形態に関わらず適用されます。また、国籍も問わないため、外国人労働者にも適用されます。
下記の賃金は、最低賃金の対象となる賃金には算入しないこととされています。
■臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
■1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
■所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
■所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
■午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働
時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
■最低賃金の対象から除外する賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)
「職務手当」「役付手当」「資格手当」「技能手当」は含めて計算します。
下記のケースで確認してみましょう。
▼福岡県で働く労働者Bさんの場合
年間所定労働日数は、365日-105日(年間休日数)=260日。
↓
年間所定労働時間数は、260日×8時間(1日所定労働時間数)=2,080時間
↓
1か月所定労働時間は、2,080÷12か月≒173時間
■160,000円(基本給)÷173時間(1か月平均所定労働時間)≒924円 ( ≦ 941円)
このケースの場合、福岡県の最低賃金941円を下回っているため、基本給の増額が必要です。
ただし、基本給のほかに「職務手当」「役付手当」「資格手当」「技能手当」を支給している場合は、上記最低賃金の計算の中に含めることが出来ます。そのため、上記のケースにおいて、これらの手当として5,000円が支給されている場合には、165,000円÷173時間≒953円となり最低賃金を上回ることになります。
ご不明な点があれば、お早めにご相談ください!
9月社労士コラム担当者 社会保険労務士 石田
▼最低賃金額を確認できます
厚労省【最低賃金に関する特設サイト】
https://pc.saiteichingin.info/